睡眠トピックス

ドクターからのメッセージ

第5回 過眠症と睡眠不足症候群

財団法人神経研究所附属睡眠学センター センター長
東京医科大学精神医学講座 兼任教授
井上 雄一 先生より

日中に眠気を感じる方の割合について


井上 雄一 先生

欧米あるいは日本でのこれまでの調査をみますと、慢性的に日中の眠気にお困りの方の数はおよそ人口の1割ぐらいにのぼると考えられています。
これは若い方からお年寄りまで幅広い年代層でみられますが、女性のほうが若干多いということもわかっています。

過眠症とは?

過眠症とは、夜間十分に睡眠時間をとっているにも関わらず昼間眠くて困る状態を指します。ですから、過眠症の患者さんは昼間、とくに午後の時間帯、あるいは午前中などにしばしば居眠りをしてしまうということが見受けられます。
また、この眠気を我慢していると集中力や持久力が損なわれるため、仕事や学業に支障を来す頻度が高くなることもわかっています。

日中の眠気の原因は?

前述のとおり、慢性的な日中の眠気にお困りの方は人口の1割くらいに存在しますが、その大半が睡眠不足によるものです。
特に、休日の睡眠時間と平日の睡眠時間が2時間以上異なる場合には慢性的に睡眠不足がたまってきているということが考えられます。
また、週の初めと週の終わりで眠気の程度が違うような場合、週の後半だんだん眠くなっていくというような場合には睡眠不足の影響が強く考えられます。

睡眠不足を改善するための生活習慣改善について

何より大切なのはご自分にとって一番必要であり、かつ適当な睡眠時間の長さがどれくらいかということを知ることです。今までの生活を振り返り、どれくらい眠れば朝すっきり目覚め、昼間元気に過ごすことができるのかを考えてみましょう。十分な睡眠時間をとることを目標として、いつ眠るのか、いつ目覚めるのが良いのかということを計画してみてください。

また、身体のリズムが整わないと眠気がつきやすくなるということもありますので、しっかり運動する、しっかり食事をとる、規則正しい生活をする、光を浴びるなど、生活のリズムにメリハリをつけるような工夫をしてみましょう。

睡眠不足以外の原因は?

睡眠不足症候群の可能性が否定された場合には、十分夜間眠っているのに昼間眠くなるという、いわゆる過眠症の可能性が考えられます。
過眠症には脳の覚醒を維持する機能が弱いために起こってくる「ナルコレプシー」や、「特発性過眠症」という病気があります。
また、先天的に必要な睡眠時間が長い「長時間睡眠者」というケースも考えられます。日本人の平均睡眠時間は7時間くらいですが、10時間以上寝ないと眠くてたまらない人を指します。

また、よく話題になります、「睡眠時無呼吸症候群」という病気もありますが、これはいびきをかいて何度も夜間に息が止まるという症状が起こります。呼吸が1回止まるたびに睡眠が1回途切れるというような現象が起こるため、夜間の睡眠が浅くなり昼間の眠気につながります。

生活習慣を見直しても症状が改善しない場合には

生活習慣を見直し睡眠不足症候群の可能性が否定されたにもかかわらず、日中の眠気が改善されない場合には、専門のお医者さんの受診をおすすめしたいと思います。

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