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コラム⑤:シナプス

眠りが脳をチューニングする!?—子どもは“刈り込み”、大人は“調整”—

シナプスは、脳の神経細胞同士をつなぐ接点であり、情報のやりとりに欠かせません。
このつながりの数や強さは、学習や記憶、感情のコントロールにも関わっています。

ヒトでは出生後も、乳児期から幼児期にかけて、脳は発達し、大量のシナプスを形成し続けますが、その後、必要なつながりだけを残して、ほかは削除されていく「刈り込み」が行われます。
記憶や感情、行動の抑制を司る脳の部位である前頭前野では、シナプスの密度が3歳半ごろに最も高くなり、思春期半ばまでにゆっくりと成人と同じくらいの密度に整えられていきます(図)1)

注)3歳半から12歳の間のデータは未測定のため、シナプス密度のピーク年齢は特定されていません。

思春期まで続く“脳の整理整頓”-シナプス発達-

思春期まで続く“脳の整理整頓”-シナプス発達-
胎児〜青年期の健常なヒト脳(前頭前野)を用いて、電子顕微鏡によるシナプス密度を評価。
3歳半から12歳のデータは未測定のため、ピーク年齢は不明
Huttenlocher PR and Dabholkar AS. J Comp Neurol. 1997: 387(2): 167-78 より作成

発達期におけるシナプスの刈り込みは、睡眠中に進むことが知られており、とくに深いノンレム睡眠が重要な役割を果たすと考えられています2, 3)
そのため、思春期までの若者で睡眠不足が続くと、脳・神経細胞の発達に何らかの悪影響がある可能性があります。

一方、成人の脳でも、睡眠中にシナプスの強さやサイズを適切に調整する働きが行われていることが報告されています3)
これは、日中の活動によって強化されたシナプスを一度「リセット」するようなもので、脳のエネルギー消費を抑え、学習効率や記憶の定着を助けると考えられています3)
この調整もまた、深いノンレム睡眠中に進むとされ、成人期におけるシナプスの機能的な整理として重要です。

このように、脳のつながりは、発達の時期にも、成人期以降も、それぞれの段階に応じて整理・調整されており、その調整には、日頃の睡眠が深く関わっています。

1)
Huttenlocher PR and Dabholkar AS. J Comp Neurol. 1997: 387(2): 167-78
2)
Maret S et al. Nat Neurosci. 2011: 14(11): 1418-20
3)
de Vivo L et al. Science. 2017: 355(6324): 507-10
【参考】
日本睡眠学会 編. 睡眠学 第2版. 朝倉書店 2020 p. 221-6
駒田陽子・井上雄一 編. 子どもの睡眠ガイドブック: 眠りの発達と睡眠障害の理解. 朝倉書店 2019 p. 6-8

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