
電車に乗るとついうとうとしてしまうのは、電車特有の環境に「眠りやすい条件」がそろっているためです。
研究では、電車の揺れに近い約0.25Hz†のゆっくりとした周期的な揺れが、入眠を早めることが示されています1, 2)。
†:4秒で1往復のゆれ(安静時の呼吸や、ゆっくり揺れるブランコなどに近い動き)
この“揺れで眠くなる反応”は、じつは生まれる前の環境とも関係すると考えられています。
胎児は、母体の歩行や呼吸に伴うゆっくりした揺れに包まれており、こうした周期的なリズムは、胎児を落ち着かせるはたらきがあるとされています3)。
乳児を対象とした研究でも、抱っこして歩くなど一定のリズムのある動きが泣き止みや入眠を促すことが示されています4)。
また、ガタンゴトンという電車特有の規則的な低い環境音も、眠気を促す要因です。
成人を対象にした研究では、一定の連続した雑音(ホワイトノイズ)を流すと入眠までの時間が短くなることが示され5)、環境騒音に悩まされている人でも睡眠の持続性が改善されることが報告されています6)。
このように、電車内の環境音は、周囲の不規則な雑音をカバーし、脳への余計な刺激を減らすことで、揺れと同様に自然な眠気を引き出すはたらきがあると考えられています。
電車内は眠りやすい環境ですが、深く眠ると姿勢が崩れて首や腰に負担がかかりやすく、無理な姿勢で体を痛めてしまうことがあります。
また急に起こされた際には睡眠慣性(寝起きのぼんやり感)が強く出て、乗り過ごしや盗難のリスクもあります。
このようなことから、電車内で熟睡することには注意が必要です。
- 1)
- Bayer L et al. Curr Biol. 2011: 21(12): R461–2
- 2)
- Perrault AA et al. Curr Biol. 2019: 29(3): 402-11.e3
- 3)
- DiPietro JA. Ment Retard Dev Disabil Res Rev. 2005: 11(1): 4-13
- 4)
- Ohmura N et al. Curr Biol. 2022: 32(20): 4521-9. e4
- 5)
- Messineo L et al. Front Neurol. 2017: 8: 718
- 6)
- Ebben MR et al. Sleep Med. 2021: 83: 256-9














