日本人は他国に比べて、不眠のときに寝酒に頼る人が多いという報告があります1)。
寝酒は、一時的には寝つきをよくしますが、睡眠後半で中途覚醒が増加し、睡眠の質が悪化することがわかっています2)。
また、飲酒が概日リズム睡眠障害をはじめ、さまざまな睡眠障害を招くこと、多量の飲酒による睡眠や健康への悪影響もわかってきています1, 3)。
寝酒が習慣化している人は、寝酒をしないとよく眠れない依存状態になっている可能性があります。
その場合、急に寝酒をやめると離脱症状として不眠が生じるため、やめたいときは、医師への相談が推奨されています4)。
なお、一般的に災害後はストレスに対処するため、多くの人で飲酒量が増えると思われがちですが、実際は災害後にアルコール使用障害(アルコール依存症)となる人のほとんどは、災害以前にもこの障害を経験した人であることがわかっています5)。
そのため、災害後にアルコールに頼ってしまうリスクを過度に恐れる必要はありませんが、災害以前にこの障害の経験がある方は、周囲の人がより注意を払うなどのケア・サポートが重要です。
寝酒の有無と睡眠(イメージ図)
Ebrahim IO et al. Alcohol Clin Exp Res. 2013. 37(4): 539-49を参考に作図
- 1)Soldatos CR et al. Sleep Med. 2005: 6(1): 5-13
- 2)Ebrahim IO et al. Alcohol Clin Exp Res. 2013. 37(4): 539-49
- 3)He S et al. Curr Opin Psychol. 2019: 30: 117-22
- 4)健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会 編. 健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月). p. 31
- 5)North CS et al. Arch Gen Psychiatry. 2011: 68(2): 173-80