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睡眠トピックス

矢崎葉子 連載エッセイ 眠れぬ夜のあなたへ 10年来の不眠症に悪戦苦闘。「不眠な人々」の著者が語る、眠れないあなたへの処方薬。

Vol.4 私がつかんだ眠りの極意

時が経ち、やがて私の不眠は……

今、わが家の掛け時計は午前2時を指している。草木も眠る丑三つ時だ。もっとも睡眠を「発達した脳のための休息」ととらえれば、脳のない草木に睡眠は存在しないことになるけれど。

早いもので、私が不眠治療のために医者の門をくぐってから6年余りが経った。その間、さまざまな変化があったが、皆さんのなかには「それで結局、この著者の不眠は治ったのか!? いまだに午前2時まで眠れないの?」との疑問を抱かれた方もいらっしゃることだろう。本エッセイも今回が最終回。
最後に、その後の私の眠りについて触れよう。

これまでの経緯はバックナンバーを読んでいただくとして、長年、苦しんできた私の不眠は医者通いを続けるうちに、処方される薬の副作用なども次第に落ち着いてきて、眠りが安定するようになった。ここまでに約2ヵ月。そして投薬治療の一方で「自律訓練法」というリラックスのための自己催眠法を医師から習い、そのコツがつかめるようになった頃、眠ることへのプレッシャーから随分、解放された。気づくと薬なしで眠れる夜が1日また1日と増えていた。

ただし「この日を境に」といった明確な実感があったわけではなく、徐々にという感じだった。
結局、医者に通った期間は8ヵ月ほどだっただろうか。思えば、定期的に通院するなかで、毎回短い時間ではあったが医師と話すことも安心につながったし、通院をきっかけに自分の睡眠を客観的に見られるようになったことで、自分がいかに安眠や熟睡をしゃかりきになって追求し、それ自体がストレスになっていたかも知った。「眠ることに必死になる」ことがなくなった頃、自然と医者から足が遠のいていた。

ただし、熟睡できるようになったというわけではなく、不眠気味なのは相変わらずで、自律訓練法は続けていたし、時折、薬の助けを借りる夜もあった。
こう書くと、「なんだ、たいして治ってないのか」と思われるかもしれないが、以前と比べると精神的に楽になった。自分の眠りを「こうあるべき」ではなく「こんなもんでいい」と思えるようになったことで、眠れない夜があっても深刻にならなくなった。それは私にとって大きな変化だった。

さて、その後、不眠を克服して幸せになりました。めでたし、めでたし……といけばよかったのだけどお伽話と違うのが現実の厳しさか。2年ほど前、再び不眠につかまった。

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[医療監修]
滋賀医科大学 名誉教授 山田 尚登 先生

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