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睡眠トピックス

矢崎葉子 連載エッセイ 眠れぬ夜のあなたへ 10年来の不眠症に悪戦苦闘。「不眠な人々」の著者が語る、眠れないあなたへの処方薬。

Vol.3「自分らしい眠り」へのプロローグ

「理想の睡眠」が眠りを拒む!?

「眠りはひとそれぞれでいい」 不眠が慢性化してしまってからようやく重い腰を上げ医院に通うようになった私に向けて、ある日、医師が口にしたその一言は新鮮な響きがあった。眠りに個人差があることはそれまでも頭ではわかっていた。

しかし、実際に私が思い描いてきたのはあくまで、夜、布団に入ったらただちに入眠できて、そのままぐっすり8時間が「理想の睡眠」であって、たとえばそれは若い頃に味わったような熟睡の記憶を持ち出してのことだったり、またあるいは世間で語られがちな「よい睡眠のパターン」が背景にあってのことだったりで、必ずしも私自身の現実やライフスタイルに根ざした「理想」というわけではなかった。

聞けば、よく語られる「8時間睡眠がいい」というのも科学的根拠があることではないそうで、確かに私の周囲には毎日4,5時間程度の睡眠でも不満は感じず、かつ肉体的にも問題なく暮らしているひとが何人もいる。つまり睡眠とはその要求度も含めて十人十色、同じひとりの人間でも年齢や生活環境などによって変化していくというし、要は自分に合う「眠りのスタイル」のようなものを見つければいいということなのだろう。

思えば私は、どこかの女性誌の見出しじゃないけれど、「自分らしい生き方」を追求することは大事にしても、「自分らしい眠り」などということを意識したことはなかった。私は時間の自由がきく仕事なのだから、もう少しフレキシブルに眠りをとらえてもよかったのだ。私の眠りを不自由にしてきたもの、それは案外、私が思い込んできた「理想の睡眠」に縛られていたせいかもしれない。
医師の言葉をきっかけに、私は自分の不眠のその周縁に知らぬ間に溜まっていた澱のようなものに気づくことになる。医師から処方される薬も固定され、少しずつ睡眠が安定しつつあったので、精神的な余裕が出た証拠かもしれなかった。

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[医療監修]
滋賀医科大学 名誉教授 山田 尚登 先生

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