眠りのしくみ 眠りは体が発する健康のサイン 眠りのしくみの情報サイト

コラム⑤:疲労と眠気

脳の疲れは眠気とずれる!?

疲れているのに眠れない日もあれば、逆に強い眠気に襲われる日もあります。
この違いは、身体的な疲労と精神的な疲労で、「眠りたい」という気持ちと、実際の眠たさ(睡眠欲求)に与える影響が異なるためです。

身体的な疲労は、睡眠欲求を高めると考えられています1)
ウォーキングや軽い運動、スポーツなどで体を動かすと、体温や代謝が上がり、筋肉も適度に疲れます。
こうした変化は、入眠を早め、夜の睡眠を深める方向にはたらきます。

一方、長時間のデスクワークなど、集中を要する作業や精神的な負荷が続くと、判断や注意を担う前頭前野のはたらきが低下する“精神的な疲労”の状態になります2)
精神的疲労が強いとストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、脳の覚醒系が活性化します。
その結果、寝つきが悪くなり、眠りが浅くなって、翌日の集中力低下にもつながります。

このため、精神的な疲労では、主観的な「眠い感じ」は強まるのに、睡眠欲求そのものは大きく高まらず、“眠いのに眠れない” 状態になりやすいことが報告されています2)

このように、身体の「疲れ」は入眠を早く、睡眠を深くする一方で、精神の「疲れ」は入眠を遅らせ、睡眠を浅くすることになるのです。
精神的な疲れを和らげるには、軽い運動が役立つことが報告されており3)、気分やストレスの改善につながると考えられています。
また、ぬるめの入浴など、心身をリラックスさせる習慣も、入眠しやすい状態をつくる一助になると考えられています4)

1)
Kredlow MA et al. J Behav Med. 2015: 38(3): 427-49
2)
Boksem MAS et al. Brain Res Cogn Brain Res. 2005: 25(1): 107-16
3)
Reed J and Buck S. Psychol Sport Exerc. 2009: 10(6): 581-94
4)
Haghayegh S et al. Sleep Med Rev. 2019: 46: 124-35
【参考】
Borbély AA. Hum Neurobiol. 1982: 1(3): 195-204
Akerstedt T. Scand J Work Environ Health. 2006: 32(6): 493-501

ページの先頭へ戻る