生体リズムとは?
内田 直 先生
われわれの体には、心拍、血圧、体温、ホルモン、月経周期などさまざまなものにリズムが刻まれており、周期の短いものから長いものまでいろいろなものがあります。
睡眠-覚醒リズムは生体リズムの1つであり、私たちは夜になると眠くなり、朝になると起きるということを当たり前のように繰り返しています。本来は体内時計のもっている25時間前後のリズムを日常生活に合うように、24時間に同調させていますが、その重要な同調因子が「光」です。
トレーニングだけでなく、睡眠ー覚醒リズムの調整も重要
睡眠は、集中力・記憶力など社会生活機能全般に影響を及ぼすとされています。また、十分な睡眠時間を確保するとスポーツの競技成績が上がるという報告もあります。
経験的には、人間の頭や体がしっかり働くようになるまでには、起床後2~3時間くらいかかるといわれています。スポーツ選手にとって、試合開始時間に合わせてトレーニングと睡眠をうまくコントロールすることは、新しいスポーツ科学分野での重要な取り組みとなっています。
生体リズムはスポーツパフォーマンスにも多くの影響を与えるため、海外遠征などの時差に伴う生体リズムの乱れ等には早急に対応する必要があります。生体リズムに重要な因子である「光」を用いて、睡眠医学をスポーツ科学に応用した例があります。
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【例】国際試合を行う選手に日本にいるときから現地の時間に合わせる操作を
「光」を用いて行った。 - → 時差対策ができ、パフォーマンスがあがった。
このように、最高のパフォーマンスを発揮するために睡眠-覚醒リズムの調整は重要な意味を持っています。
日常の生活において生体リズムを整えるには
長期の休みや受験勉強のために夜型の生活になっている人も多くいると思います。人間の生活リズムは簡単に変えられるわけではなく、適応するまでに通常は2週間程度かかるといわれています。
スポーツや勉強、仕事でここぞというときに最高のパフォーマンスを行うためにも、日頃から自分の生活、睡眠のリズムを整えておきましょう。
- -日常生活において、生体リズムを整える方法-
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- 睡眠時間を十分確保するために、早寝をする(夜更かしをしない)。
- 朝、起きたら太陽の光を浴びる。
- 朝食をとる。
- 適度な運動をする。
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就寝の1~2時間前に入浴する。
→入浴によって気分がリラックスし、その結果としてスムーズに入眠できる。 - 夜、強い光に当たらないようにする。